本製品は、皆川明氏によるハンドドローイングを、山形緞通の「手刺し」という技術を活かして製作しています。糸づくりから染色、織りから仕上げまで、人の手と時間を丁寧に注ぎ、1枚のじゅうたんを作り上げます。
原料となる羊毛は、ニュージーランド産とイギリス産羊毛です。剛直性、弾性、柔軟性などの観点から、製品に最適な割合でブレンドしています。その後、自社の工房で染色を施した9色の糸を再びブレンドし、本製品を表現する3色の糸をつくっています。
毛先を均等にカットし切り揃えるカットパイルという織り方を基本としながら、原画の纏った空気を表現するため、木の幹のみをループ織り(毛先の先端をループ状にする織り方)で仕上げています。しっとりとした肌触りに加えて、ループの丸みがアクセントとなり、触感の奥行きを楽しめます。
また、小鳥の毛足を長く設定し、表面から浮き出るようなエンボス(浮き彫り加工)を施しているため、織り工程には、通常よりも多くの時間と注意を要します。特殊な工具で毛足の長さを調整しながら、高密度に織り上げていくことによって、はじめて小鳥に立体感が生まれます。
1羽1羽、職人が手仕上げによって小鳥をかたどり、仕上げています。工具を用いて全体を整えた後、手鋏やピンセットを使ってディティールを詰め、同時に毛足の長短や遊び毛を取り除いていきます。精巧かつ、生き生きとした造形になるよう、細かな調整を繰り返します。